ウェディング撮影

天国からの祝福~ブライダルカメラマンのつぶやき

2006.6.3

二部制の結婚式って、最近ではかなり増えました。
「披露宴」と「二次会」ではなく、
それぞれ「親族中心の食事会」と「友人中心のパーティー」という意味合い。
列席者もコンセプトも違い、どちらにとってもメインのお披露目だから「二部制」。
立ち会う私にとっても、それぞれのパーティーで新郎新婦の違う表情を追いかけることができて
長い一日があっという間です。

さてこの日、二部の最後で、新郎は新婦へ、そして新婦は新郎へのサプライズ。
どちらも、お互いへの「今の気持ちをつづった手紙」を用意していました。
こちらは、パーティーを仕切った幹事さんたちの仕込みによるものです(笑)

この手紙の中で私は衝撃的な事実を知ることになります。

新婦からの手紙・・・

「父が重い病気だと分かったときから、私は父への結婚の報告を焦って、あなたを困らせたこともありました。
でもそんなときもアナタは誠実に対応してくれて、正式な結婚の報告と、さらにウエディングドレスの写真も見せることができて、ほんとうに感謝しています。
父は今日の日を待たず、一ヶ月前に亡くなってしまったけど、天国から見守ってくれているから
これからも仲良く過ごしましょう」

・・・・・え?

一ヶ月前?????

私が打ち合わせで新婦と会ったのが、今から2週間ほど前。
打ち合わせでは、当日のお祝いの場で私の言葉が失礼にあたらないように、
両家の家族関係はいつも確認しています。

私「ご両親はお揃いですか?」

新婦「ウチは母だけなんです。父は亡くなっているので」

そう答える彼女は、まさか2週間前にお父さんを亡くしたばかりの娘とは想像もつかないほど
気丈に、(今から思えば平静を装って)私に笑顔で答えてくれてたんですよね。

一部の食事会だって、新婦側のご親族は
お父さんの写真立てをテーブルに置きながらも、
見るからに「お祝い」モード一色で笑いが絶えず・・・

彼女が涙をこらえながら読む手紙に、私は今日の出来事をひとつひとつかみしめながら
人ってこんなに強く明るくいられるものなんだろうかと、
胸がしめつけられるような思いにかられながらも、がんばって最後まで撮影しました。

お客さんのお見送りが終わって、
「じゃあ、最後に。
アルバムのラストに入れる、とびっきりの笑顔の写真、撮りましょう!」

これから作るアルバムは、天国で見守っているお父さんに見せても恥ずかしくない
「最良の一日」の記録になるような一冊にしたいと思います。

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